

| 第6号 | 平成15年11月1日発行 |
クラミジア感染症について |
ヒトに感染するクラミジアには、主に子宮頸管炎、骨盤腹膜炎やトラコーマなどを起こすトラコマティス、肺炎を起こすニューモニア、オーム病を起こすシッタシなどがあります。ここでは、クラミジア・トラコマティスのことを説明します。

クラミジア・トラコマティス感染症は、現在わが国における性行為感染症(STD)の原因になる微生物の中で、最も頻度の高く感染者が多い性感染症です。
男性では、尿道炎、前立腺炎、副睾丸炎をおこしたりします。
女性では膣から上行し、子宮頸管の円柱上皮内に感染し生息します。成熟女性の子宮頸管から約五〜十パーセントの頻度で本菌が検出されますが、そのほとんどは無症状であり(不識性感染)時に軽度の子宮頸管炎を伴い帯下の増量や不正性器出血があります。ここからさらに子宮体部、卵管、骨盤内に感染が上行すると骨盤内炎症疾患が発症します。
その結果、不妊の原因となるだけでなく、子宮外妊娠、流早産の原因ともなります。分娩時に産道において新生児へ感染し、感染者から生まれた児の四分の一以上に、結膜炎や新生児肺炎を発症することがはっきりしてきました。
そこで多くの施設において妊婦管理の中でクラミジア・トラコマティスの感染の有無を調べ、子宮頸管炎の症状がなくても感染が確認されれば分娩までに治療を終了しておくことが実際に行われるようになってきました。
クラミジアの検査法は簡単で、直接綿棒で採取する方法と血液の抗体価を調べる二つの方法があります。
検査の結果、もし感染が発見されれば、抗生物質の服用などで比較的容易に病原体は死滅します。
しかし、感染した時の症状が乏しいため、治療の機会を逸してしまい、前述のように骨盤内にまで病原体が侵入し、腹腔内癒着を形成してしまい腹痛を主訴として受診される患者さんが最近増えております。
このように、適切な治療がなされないと怖い病気であることを認識していただきたいと思います。

近年、クラミジア感染症と関連して当科で多く行っている治療に子宮外妊娠の手術があります。
子宮外妊娠はクラミジアにより卵管炎が起き、卵管内腔に不全閉塞が生じることによって、精子は通るが受精卵は通過できないときに起こることがわかっています。
以前は、子宮外妊娠は胎児が育って卵管破裂が起き、大量の腹腔内出血でショック状態になって初めて診断されることが多かったのですが、最近は、経膣の超音波断層装置の解像力が良くなったことや低単位の尿HCG(妊娠反応)が測定できるようになり、ほとんどの患者さんで卵管破裂を起こす前に診断がつくようになってきました。このため開腹手術は必要なくなり、当科では治療のほとんどが腹腔鏡による手術となっております。このため腹腔鏡手術を希望され近隣から多数の患者さんが紹介されてきております。
腹腔鏡の手術ではおへその窪みに一箇所、左右の腹部に一箇所ずつの計三箇所に小さな穴を開け、そこから内視鏡操作をいたします。また、妊娠している卵管は摘出せず、できる限り温存するようにしております。このため従来のように腹部に大きな手術痕を残すこともなく、入院期間も四〜五日と短くなって社会復帰も早くなってきております。
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1 |
岐阜市民病院長 伊藤隆夫 | |
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呼吸器科部長 澤 祥幸 | |
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センター長 岩井知彦 | |
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4 |
産婦人科部長 伊藤 邦彦 |
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編集部一同 |