第4号 平成14年12月1日発行

怖い頭痛 〜くも膜下出血のお話〜

脳神経外科部長 岩井 知彦


脳は外側から順番に硬膜、くも膜、軟膜と呼ばれる三枚の膜で被われています。くも膜と軟膜との間のスペースはくも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液という水が循環しています。このくも膜下腔に出血する病気がくも膜下出血です。くも膜下出血の原因の大部分が、脳の動脈にできたコブが破裂しておこる破裂脳動脈瘤です。四十歳以降によく起こりますが、それより若い人に起こることもあります。
症状は出血の程度によりさまざまですが、典型的な場合は激しい頭痛が突然にはじまり、吐き気や嘔吐を伴います。患者は「突然バットで頭を殴られたようだ」とか「雷にうたれたようだ」などと表現します。出血が多いと意識を失い、最重症の場合は「即死」です。逆に出血が少ない場合は、「なんだか頭が痛い」という程度のこともあり、しばしば風邪、片頭痛、二日酔いなどと誤診されますが、その場合でも「何時何分何秒に起こったといえるほど突然の頭痛」という特徴を備えていることが普通です。
診断は、典型的な場合には、コンピューター断層撮影(CTスキャン)上、星形の白い部分がみられることから容易にくだせます。

しかし、出血の量が少ないとこの星形が見られず、専門医でないと診断が難しい場合があります。さらに、発症後長い時間がたって血液が薄くなったときや、最初から出血がごくわずかな場合には、CTでは診断がつきません。このような場合には、腰から針を刺して脳脊髄液を採取し(腰椎穿刺)、出血を確認することで診断します。これも発症から2〜3週間以上経過すると診断できなくなります。ですから頭痛が突然起こったときには、できるだけ早く脳神経外科の専門施設を受診してください。
脳動脈瘤がくも膜下出血の原因である場合、最大の問題点は再破裂の危険性です。最初の破裂が軽症であっても、再破裂すると死亡したり重い後遺症を残す可能性が高くなります。そこで、再破裂を防ぐために頭を開けて動脈瘤の付け根にクリップをかける手術(クリッピング)が行なわれます。最近は、頭を開けないで血管の中から瘤に管を導き、瘤の中に金属のコイルをつめて治す手技(血管内手術)も開発され、症例によってはこちらの方法が選択されることもあります。


くも膜下出血の頭痛は、出血量が少ないと軽く済んでしまいます。ところが、脳動脈瘤が再破裂すれば致命的になることもあります。たとえ短時間で頭痛が我慢できるようになったとしても、「突然の頭痛」は軽視しないようにしましょう。「突然の頭痛があったら脳神経外科」、この原則を忘れないでください。


前のページ   次のページ

-----目次一覧------

1

「病院機能評価」認定される

岐阜市民病院長 伊藤隆夫

2

患者の皆さんへお知らせ

岐阜市民病院 医事課

3

特集C 腎臓病・血液浄化センター

センター長 鷹津久登

4

怖い頭痛 〜くも膜下出血のお話〜

脳神経外科部長 岩井知彦

5

緊張型頭痛と肩凝り体操

看護師 橋本文世・永石博美

6

患者会のご案内

やすらぎ編集部

7

くすりのおはなし

薬剤部
8 編集後記 編集部一同