創刊号 平成14年3月1日発行

咳の話「たかが咳、されど咳」

呼吸器科部長  澤 祥幸

 肺炎や肺癌などの重症の病気がなくても咳がいつまでも続く患者さんがいらっしゃいます。多くはタバコの吸いすぎにによる慢性気管支炎ですが、レントゲンでは異常がなく、タバコを吸わないのにいつまでも咳が続く女性を見かけるようになりました。最近判ってきたことですが、アトピー素因やアレルギーがあると、慢性的な咳が続くことがあるのです。アレルギーが原因でおこる肺の病気としては気管支喘息がありますが、喘息のように呼吸が苦しくなったり、呼吸が「ゼーゼー」することはありません。女性は一般に、咳刺激に対して感受性が高いために咳が出やすいと考えられています。熱もなく、病院でレントゲンをとってもらっても異常がなく、それでも咳が続く場合は、一度アレルギー素因があるかどうか血液検査で調べてもらうとよいでしょう。治療は気管支喘息に用いるアレルギーをおさえる薬がよく効きますが、長期間続けて飲まないと効果は現れません。
 タバコを吸っている方で咳が続く場合は、まずタバコを完全にやめてください。どんなによい薬でも、禁煙に優るものはありません。タバコを吸うことは気管支が荒れるだけでなく、癌や心臓病、呼吸器病の原因になり、将来、命とりになるような可能性もあります。病気が進行してから禁煙しても、病気の進行を遅らせることはできますが、タバコで破壊された肺が元どうりになることはないのです。「たかが咳」と思いがちですが、重い病気の前兆であるかもしれません。たかが咳と思わず、咳が続いたら、あなたの体が黄信号を出しているのだと考えてください。

 話はかわりますが、お年寄りで夜中に咳が続いて眠れないので、咳止めと睡眠薬がほしいと受診される方がいます。お年寄りで夜中や明け方に咳がでて眠れないのは、眠っている間に唾液や胃液を誤って気管支に吸い込んでいるからです。咳がでるのは、気管支に入った唾液や胃液をなんとか外に出そうと体が働いている証拠です。お年寄りは肺炎になりやすいのですが、この原因はばい菌の混じった唾液や胃液を無意識に気管支に吸い込んでいるせいなのです。ですから、原因を取り除かずに咳止めや睡眠薬を使うと、肺炎になる危険が非常に高くなるのです。脳卒中があったり、のどや食道の働きが悪くなると、気管支に食べ物や唾液を吸い込みやすくなり、むせたり咳が続くことがありますので注意しましょう。お年寄りは慌てて食べず、ゆっくりと時間をかけて食事をしてください。家族もお年寄りがゆっくりと食事ができるよう気遣ってあげてください。咳だけでなく痰も気になるときは、その他の病気も考えられますので、一度かかりつけの医師に相談され、痰の検査をしてもらうとよいでしょう。痰から、ばい菌や結核、癌の検査をすることができます。
 たかが咳、されど咳は肺と気管支の病気の黄信号であることを忘れないでください。


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広報誌「やすらぎ」の創刊にあたって

岐阜市民病院長 森 矩尉

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病 院 紹 介

病院事務局

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特集1 循環器病センター 心臓病で死なないために

循環器病センター長 上野勝己

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咳の話「たかが咳、されど咳」

呼吸器科部長  澤 祥幸

5

くすりのおはなし [くすりの保存法]

薬剤部

6

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糖尿病教室

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編集後記

編集部一同