
| 創刊号 | 平成14年3月1日発行 |
循環器病センター長 上野勝己
虚血性心臓病とは?
近年、食生活や生活スタイルの欧米化に伴い心臓の血管(冠状動脈)にコレステロールなどが沈着して目詰まりを起し(動脈硬化)血のめぐりが悪くなる、いわゆる『虚血性心臓病(狭心症・心筋梗塞)』が増加してきました。虚血性心臓病は突然の心停止を来たすため、いかに元気そうに見えていても病気の初期段階で、あっと言う間に死亡してしまう油断のできない病気です。しかし、“待ったなし”の恐ろしい病気でありながら病気の初期をうまく乗り越えることができれば、多くの方が後遺症のない元通りの生活に復帰できます。
虚血性心臓病の治療
したがって心臓病の治療とりわけ虚血性心疾患の治療では早期発見・早期治療(血管形成術などの目詰まりして閉塞した心臓の血管を再開通させる治療)・再発防止をできるだけ時間的ロスなく円滑に行うことが元気に社会復帰するための『鍵』となります。この一連の治療とりわけ閉塞した心臓の血管を24時間体制で再開通できる病院は限られており、できる病院で治療を受けるのとできない病院で治療を受けるのとでは死亡率に10倍もの差があります。さらに、この再開通療法の成績はその施設での年間治療件数の多いところほど良いということが米国で証明されています。
つまりただできるというだけでなく、うまくたくさん治療しているという病院を選ばなければならないのです。

虚血性心疾患の治療には何が重要か?
岐阜市民病院の循環器病センターは心臓病治療を専門的に行う目的で平成3年の新築時に中央病棟3階に造られました。病院の設計段階では現在の虚血性心臓病の増加を予測することは誰にも不可能でした。ところが幸運にも循環器病センターのある中央病棟3階には心臓の精密検査と治療を行う心臓カテーテル室・集中治療室(心臓用集中治療室CCU)・手術室・心臓治療用病室のすべてが同じフロアーに集められていました。ワンフロアーにこれだけの設備が集められている病院は全国でも非常に数少なく、治療室と各病室とを医師・看護師は最短の時間で移動し、あっという間に急変する心臓疾患に瞬時に対応することができます。このセンターで年間約3000件の心臓カテーテル検査と、900件の心臓カテーテル治療、約100件の心臓手術(バイパス手術・弁膜症手術・大動脈手術)を行ってきました。
これからの循環器病センター
虚血性心臓病の治療にはスピード(できるだけ早く治療室に入り、技術に裏打ちされた迅速な治療を受けること)が『鍵』となります。わたしたちは24時間365日体制でこの治療にあたってきましたが、近年の患者さんの増加により現在の設備では検査室が使用中の場合、急を要する患者さんに迅速に対応することができなくなる可能性がでてきました。このため皆さん方をはじめ多くの方々の知恵と協力のおかげで平成14年3月からはセンターの一部を改装し心臓カテーテル室がさらに一室併設され、同じフロアーで2室(病院内では計3室)となりました。これで緊急を要する場合でもスピードを損なわず、十分な治療が可能となります。
医療経済の悪化によって、今後の医療は治療内容の画一化・ワンパターンの押し付けという、治療を受ける個人個人の差を認めない方向に向かう危険性があります。しかし、わたしたちの目標は当センターを利用される皆さん一人ひとりに合ったオーダーメイドの治療を提供することです。そのためにも皆さんから『心臓病で死なないため』に選ばれる施設であるよう今後も努力を続けてまいります。これからも皆さんにとってより良い心臓病治療センターにしてまいりたいと思います。今後ともよろしくお願いします。