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第10回世界気管支学会(WBC,ブダペスト)

ドナウ川紀行2(ビシェグラード〜ブダペスト)

(ドナウ川紀行1はオーストリア内)



2年ごとに開催される世界気管支学会は,本年はハンガリーの首都ブダペストで6月14日から18日に開催された.以前より演題提出を検討中であったが,前回は同時期に開催されたアジア大平洋胸部疾患学会に出席したため,本年演題提出となったものである.以前より,岐阜市民病院呼吸器科では,気管支内腫瘍に対し内視鏡を用いたエタノール注入術を実施しており,昨年の日本気管支学会総会で豊田(河田)美紀医師がまとめて発表していたものを英文にまとめて演題申し込みをした.気管支学会はまだ歴史が浅く,気管支鏡とともに発展してきた学会であり,学会の格付けとしてはATSやASCOとは比ぶべくもないが,気管支鏡検査を実施している医師にとっては最も権威ある学会である.かつ本学会は日本がイニシャチブをとっている数少ない国際学会の一つである.本来ならば,研究の中心となった豊田美紀医師が発表するはずであるが,たまたま4月に大学へ帰局して大学院に入学したため,私が演者となって発表した.6月のブダペストは日が長く気候も安定しており,観光にもベストであるが,残念なことに当院は公立病院であり学会発表は公務出張となるため観光はできない.学会当日の6月14日に関西国際空港からオーストリア航空でウィーンを経由して同日夜ブダペストに着いた.当然一人である.ハンガリーはマジャール人の国であり,マジャール語はアジア系であるため,英語のコミュニケーションはあまり期待できない.多少心細い気もしたが,市民病院に赴任してからは国際学会は殆ど一人であるため,なんということはない.ホテルに着いたときには19時で,バスや地下鉄の乗り方が今一歩よくわからない.ドナウ川を挟んで対岸のブダの丘の上に学会会場となったヒルトンホテルが望めるため歩いて行くことにした.

夜のくさり橋

約30分かけてくさり橋を渡り,ケーブルカーで丘をのぼり,宮殿脇を通って会場に着くと既にオープニングパーティーは最高潮に達している.ポスター会場は既に閉場となっていたため,翌日に掲示することにした.

ドナウ河畔からみたブダの丘と王宮,学会場のヒルトンホテル

6月15日,朝ホテルを出発,地下鉄に乗っていこうと,切符売り場を捜すが,日本のような切符売り場や改札がないのである.切符売り場はどこかとふらふらと地下の方へ降りていくといきなり地下鉄のホームである.どうしたものかと,近くにいた駅員に訪ねると「切符を持たずにホームに降りると無賃乗車とみなされ罰金だ」という.お互いpoorな英語で押し問答したが埒があかない.罰金はいくらか尋ねたら800フォリント(約700円)だというのでその場で支払い,解放された.やれやれ.地下鉄に乗っていて気づいたのだが,現地の人は大抵通年パスを持っており,状況のよくわからない外国人観光客が800フォリントなりの罰金の犠牲になっているようである.ともかくも,歩いていくより倍の時間をかけて地下鉄とバスを乗り継ぎ会場に至る.

ブダの丘からみたドナウ川にかかるくさり橋

早速ポスターを貼っていると,貼り終わるやいなや,親しげにポスターの内容を皆が質問してくる.国際学会のポスターといえば「貼り逃げ」を決め込んでいるため,いやあまいった.貼り逃げする隙も与えてもらえない.日本ではエタノール注入など過去の方法の改良にすぎないが,東欧やアジアの国では安価で簡便なのが興味を持たれたらしい.

ポスター発表会場にて

公務出張中は滞在するブタペストから離れることができないので,午後からはブダペスト周辺をふらふら観光する.ブダペストの北40kmほどにドナウベンドと呼ばれるドナウ川沿いの観光地かある.列車に乗ってぶらぶら出かける.

ドナウ河の対岸からみたビシュグラードの山頂要塞

ビシェグラードで山上の要塞跡にのぼると,景色は金華山から長良川を見下ろすのとよく似ている.

ビシェグラード山頂要塞跡にて:後方の景色が長良川によく似ている

バスをのり継ぎセルビア人の街センテンドレ市内を散歩してブダペスト市内にもどると米が恋しい.夕食は中華料理である.

センテンドレの街(教会前)にて

翌16日は1日中,学会会場で討論に参加(ただ聞いているだけ)した.夜はオフィシャルエクスカーションで,参加者皆,観光バスに乗せられハンガリー大平原へと向かう.もう夜だというのに牧場でホースショーを見せてくれる.

ハンガリー大平原の牧場の夕焼け

ここではハンガリー料理が供され,トカイワインに酔い紳士淑女もただのおっさんとおばはんである.ブダペストにもどったのは何と深夜1時.ああこのまま明日のプレゼンに望む.17日はプレゼンの日.少なくともポスターの美しさ,デザインの良さに関しては得意のMacを駆使して作成しており自信はある.しかし内容には自信がない.ポスターの討論も座長が2名つき,1題に15-20分かけて討論する.座長は著名なハイデルベルグ大学のベッカー教授とスペインの先生であった.手技や方法論について細かい討論を繰り返した後,エタノール注入術の利点は何かという話になった.下手な英語で不毛のやりとりをした後,ベッカー教授が一言,「cheep」.この時は褒められたのかけなされたのか判らず,とりあえず終わってやれやれ.明日は帰国するというのに米が無性に食いたい.この夜は,バンケットで我が発表が表彰されているとも知らず,ドナウ河畔のタイ料理店でカレーライスを食べ帰国の準備をしたのである.

記者発表の様子(岐阜市役所にて)


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